未来を創造する、福工大の挑戦

新たな機能性を発見した農水産物でオリジナル特産品を開発

工学部 生命環境化学科

桑原 順子 教授

サバや白きくらげなど農水産物の「地産地消」で地域を活性化

桑原研究室では、農水産物のまだ知られていない新しい機能性を見出し、化粧品や食品を作る研究に取り組んでいます。例えば、九州では刺身などで食べられる「サバ」。このサバの皮膚の表面の成分には、肌のシミやシワを防ぐ機能が見つかっています。また、佐賀県唐津市の地元の農家が作っている「白きくらげ」には、肌の老化を防ぐ効果を発見しています。この研究の意義は、九州の各地域に豊富にある特産品に、新機能の付加価値を持たせて商品化することで、販路を開拓することにあります。地元で産出される農水産物を化粧品や健康食品として売り出すことで、新しい「地産地消」にもなり、地域活性化にもつながっていきます。

養殖サバ「ぬめり」の抗酸化成分を利用し肌のシミやしわ防ぐ

「サバを扱う養殖業者の手のアトピーが改善された」という報告から、佐賀県唐津市周辺の海域で育てられる養殖サバの表皮の「ぬめり」成分に注目。サバが外敵に襲われた際などに出す表皮のぬめり成分には、ヒトの皮膚のしわやくすみの原因となる「酸化」に関わる活性酸素(H2O2)の働きを抑制する酵素が含まれていることが分かりました。特に養殖サバに成分が多く含まれ、化粧品などへの活用が期待されます。具体的には、「ぬめり」成分に含まれるCar(カルノシン)によって、活性酸素(H2O2)の働きを抑制する酵素CAT(カタラーゼ)とGPX(グルタチオンペルオキシダーゼ)の合成が促進され、細胞の傷害が緩和されると考えられます。

「白きくらげ」が材料の「洗顔せっけん」を開発し国内外で販売

桑原研究室では、佐賀県唐津市の農家が作る「白きくらげ」の研究も行っています。この白いきくらげから抽出される多糖体には保水性など、様々な機能があり、この農家は桑原教授と共同研究を行いながら、「白きくらげ」を材料にした「洗顔せっけん」など、オリジナル製品を作り、国内外で販売しています。このように、農水産物に新しい機能を発見することで、食品だけではなく化粧品や健康食品の販売ルートが開けます。桑原研究室ではこのほかに、九州の様々な農水産物の機能性評価に取り組んでおり、「機能性」という付加価値を持たせることで農水産物の価値や可能性を高め、また地域活性化にも貢献すべく研究を進めています。
科研費(科学研究助成事業)

研究課題名:「白いキクラゲ微粉末を用いたピッカリングエマルションの乳化制御と機序の解明」 
補助事業期間 : 2022~2024

工学部 生命環境化学科

桑原 順子教授

  • 研究分野:生体高分子化学、環境材料化学

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