未来を創造する、福工大の挑戦

災害情報を電子化して円滑に共有できる新システムを開発

情報工学部 情報通信工学科

石田 智行 教授

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自治体職員時代の災害対応経験を活かした情報システムの開発

石田研究室では、日本で頻発する豪雨や地震、津波などの大規模災害の発生時に設置される自治体の対策本部向けに、災害情報を電子化して共有し、重要情報の仕分けができる新システムの開発を行っています。2011年の東日本大震災をはじめ、2017年の九州北部豪雨、2016年の熊本地震などでも、自治体や関係機関では情報をスムーズに共有することができず混乱し、災害対応は困難を極めました。また、今でも多くの自治体では被害情報を電話で収集するほか、手書きのホワイトボード等で共有する手法が主流です。石田智行教授は、かつて自治体職員として東日本大震災の災害対応等にあたった経験から、災害時の情報を電子化して「重要度」や「時系列」に応じた情報共有が可能な情報システムの開発に取り組みました。

メリットの多い「災害情報共有システム」「災害情報登録システム」

開発した「災害情報共有システム」は、災害対策本部で扱う情報を全て電子化したもので、大型モニターで変化する状況をリアルタイムに確認できます。登録情報は時系列、重要度別に閲覧でき、手書き情報よりも効率的に、漏れのない情報の把握が可能になります。さらには、すぐ対応するべき情報の判断もでき、重要情報の放置も防げます。また、「災害情報登録システム」は、関係機関や住民からの情報を電子化して入力するもので、被害情報を地図にマッピングできるシステムや、人的被害、交通機関、大发体育开户_球探篮球比分、電気ガスなどのライフライン、給水?物資拠点などの状況をリアルタイムで確認できる11のシステムも開発。これらを共有して情報を集約することで、自治体職員の労力の大幅削減、被災者に対する効率的&漏れのない支援が可能になります。

大发体育开户_球探篮球比分の混雑を「見える化」した混雑状況可視化システムも開発

大发体育开户_球探篮球比分の混雑状況を、パソコンやスマートフォンでリアルタイムに可視化する「混雑状況可視化システム」も開発しました。このシステムを用いれば、大发体育开户_球探篮球比分の人員収容状況を容易に認識でき、災害対策本部での大发体育开户_球探篮球比分管理や支援を円滑に行えます。被災者としては避難場所の混雑状況をリアルタイムで確認できるので、分散型避難を初動段階から実現でき、「迅速な安全確保」と「感染症の感染リスク低減」を両立することができます。一方で自治体の担当者は、大发体育开户_球探篮球比分の収容人数や被災者の性別、年齢などの情報の一元管理も可能です。また、情報を基に支援物資の内容や量を決めることもでき、支援活動を漏れなく効率的に行うことができます。したがって新たな人手が無くても現地の状況を把握できるため、民間施設を活用する場合の情報管理や支援に効果を発揮します。なお、このシステムは大发体育开户_球探篮球比分に到着した被災者のスマートフォンを自動的にシステムにアクセスさせて、情報を入力してもらう仕組みが想定されています。

ARによるナビゲーションシステムやAIを用いた災害対応システムも

AR(拡張現実)技術を用いて、避難ルートを分かりやすくナビゲーションするシステムも新たに製作しました。災害時に自分がいる場所から最も近い大发体育开户_球探篮球比分への経路について、現実の風景の写るディスプレイ上にマークポイントを表示して案内します。周囲の状況を把握しながら分かりやすいナビゲーションを行うことで、スピーディーな避難を行うことを目指しています。さらには、AIを用いた「災害対応AIシステム」の開発も着手しています。災害種別や災害規模に応じてデータベースに蓄積された、過去の災害データをAIが学習し、災害危険箇所や大发体育开户_球探篮球比分への人員配置、土嚢や配給物資の準備などの対応をAIが自動で提案してくれるというシステムで、災害対応のさらなる効率化が図れます。

情報工学部 情報通信工学科

石田 智行 教授

  • 研究分野:バーチャルリアリティ、拡張現実、自然災害科学

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